講習会に関して(予備校生向け)

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講習会の受講に関して(予備校向け)

 

講習会の受講に関して、問い合わせを受けることが増えてきました。そこで、講習会受講についての私の考え方を伝えておきます。参考にしてください。

 

まず講習会全般について。昔は、予備校の講習会と言えばどれもすぐに締切になったもので、そういう時はとにかく申込み初日に申し込めるだけ申し込もうとする人もいましたし、そのために随分前からどれを取るかを考えたりした時代もありました。でもそれも今は昔。今はごく一部の講座を除いてそういうこともないのではないかと思います。また、映像授業などの発達で、締め切り講座でも映像で見ることはできるようになっているはず。だから、慌てて講座を決める必要はないと思います。

誤解のないように言っておきますが、講習会を取らないように、などと言うつもりは全くありません。私も商売柄、自分の商売を毀損するようなことはするわけがないじゃないですか。むしろ私は、商売を離れても、講習会はなるべく授業を取った方がいいと思っています。夏休みも、冬休みから試験直前期にかけても、実は結構期間があるわけです。その期間に「自分だけで勉強する」のは、残念ながら多くの諸君の現実に照らして考えると危険な賭けです。間違った方向に1ヶ月以上も走り続けたら、軌道修正は容易なことではありません。夏のことであってもそうですし、ましてや冬や直前期であればなおさらです。その意味で、私はそもそも予備校が長い夏休みを設置したり、年が明けるとそこそこに授業をやめてしまう今のあり方には正直問題があると考えています。休みは講習会に来てもらって別料金で、ということなのかもしれませんが、個人的には1学期と2学期の授業を2回ずつ増やして夏休みを半分の長さにするほうがいいと思いますし、3学期もしっかり設置するほうが合理的だと思います。でも、予備校が3学期を短くするのには訳があって、それは単にお金儲け云々のことではなく、その時期になると本当に生徒さんが来なくなるのです。「試験直前だから予備校に行っている場合ではない」ですって。何言ってるんでしょうか。「直前だからこそ予備校の力が必要」なはずですけどね。個人的には全く理解に苦しみますね。曲がりなりにも正しいレールの上をなんとか脱線をしのぎ続けて走ってきたのに、最後にレールのまったくないところを1ヶ月以上走って最後に大失速、という例は枚挙に暇がありません。実に残念なことです。

だから、はっきりいいますが、今の制度の中でちゃんと夏休み・直前期を過ごしたいなら、しっかり講習会は活用しましょう。1つのタームにいくつも詰め込まなくてもいいから、万遍なく予備校に通うリズムを変えないことです。ただ、最初の話に戻ると、何をどれだけ取るかを決めるのは、そんなに急がなくてもいいのではないか、と思います。予備校が例えば夏期講習会のことを宣伝し始めるのは多分5月の半ばくらいでしょうが、そんな時期に夏の自分が何を必要としているか、分かる人はあまりいないと思います。というより、そんなことを考える暇があったら勉強してください。5月から6月は基礎づくりに最も重要な時期です。目先の点数を考えずに揺るぎない基礎をつくることができる時期は今しかないのです。そして6月の終わりくらいになったら、本当に講習会をどうするか考えてください。冬や直前期も同じことが言えます。11月終わりまでは2学期のことに集中し、12月の声を聞いたら講習会のことを考える、というのが良いと思います(これでまた怒られるな)。

それと、授業を取るに際して、自分に何が必要かだけを基準に決めてください。一番いけないのは「金魚のフン」です。みんなが取るから僕も私も、というやつ。そういう主体性のない人は根本的に成功しません。自分のことが見えず、もっと悪いのは見えているのに周りに流される人は、成功の対極にいる人です。チューターや講師に相談するのもいいでしょうが、私を含めて業界の人間は全員、これを商売でやっているのです。だから「おすすめ」を迂闊に聞いたら「全部!」って言うに決まってるじゃないですか。もちろん、好きな先生の授業を全部取って追っかけするのもいいでしょうが、そういうのは大学行ってからアイドル相手にやってください。逆に、例えば夏休みが過ぎてからでも、必要だと思うものは映像授業などでちゃんと取りましょう。

自分が本当に必要だと思うことは、真剣に聞き、その内容を活用しようとするはずです。そういう気持ちを持って授業に臨めば、予備校の授業はどの授業でも得るものは多いはずです。私を含めて業界の人間は、受験情報を売っていますが、多くの先生方は、少なくとも私は、自分の売るものに自信がなければ売りません。ただ、どんな商品でも、消費者が本当に必要としていないものは結局は金の無駄です。私は、あなたがその情報を必要としていると信じて、その情報を伝えるのです。ほしくない人に押し売りする気は毛頭ありません。単科講座のテキストには付録がついていますが、学期の終了間際になっても付録部分が新品同様のテキストを持っている学生を見ると心の底から悲しくなります。私が心血を注いで伝えようとした情報は、そこで相変わらず新品同様の紙に印刷されたまま、打ち捨てられようとしている。情報の発信者として、見るに耐えません。VERBSもそう。買っていただくのはとてもありがたいのですが、そのまま使わずに死蔵するのはやめてほしいと心から願います(ましてや、ネットオークションで元の値段より高く売ろうとするのはやめて)。

 

では次に、私自身の「講習会」のことについて話しましょう。時々生徒さんから質問を受けるのですが、その殆どが実にバカバカしいんだこれが。「講習会では何やるんですか(→英語です。ドイツ語もスペイン語もやりません)」「読解と文法、何が違うんでしょうか(→読解するか文法問題をやるかですね。書いてあるとおり)」「先生の授業、出て意味ありますか(→失礼な野郎だなぁ)」

勉強の年間計画のことを伝えたときにも言ったのですが、私の中では「講習会」はオプションではなく年間計画の一部です。上にも書きましたが、24回の通常授業では足りないのです。もちろん取る取らないは受講者の自由。でも私は、講習会にも来ている、あるいは来ることを前提として学期の授業を行います。次に時期ごとの問題点ですが、「夏の講習」は道具を武器に変える1年で最も重要な転換点です。1学期に英語の文法・ものを見る目・論理的思考力という道具を身につけてもらうわけですが、それを「得点を取る」ための武器に変えるのが夏の講習です。そこでやった「解法」をもとに二学期の授業が行われます。これは本科でも同じ。例えば1学期英文法のクラスは2学期に私は長文を担当しますが、その時にも夏の講習会の「読解」の授業で培った解法の理解を前提とします。2学期にそれをやっていると演習量が足らなくなるからです。反対に冬の講習は「今の実力のままで得点を上げる」ことが目標。2学期終わりまでは実力そのものの向上を図ることが唯一無二の目的ですが、冬になると、さらなる実力向上も考えますけれども、現にその人の今持っている能力をより効率よく得点に変換するには何をするべきか、という最も現実的な目標を最大のターゲットに切り替えます。それが、おそらくは今年で最後になる「センター試験英語」です。私の「センター試験英語」は夏と冬にしか行いません。その理由の詳細は授業で明かしますが、同じ「センター試験英語」であっても夏と冬では目的と扱う問題の種類が全く異なります。夏は「英語の基礎力を高めるのに、冬までに何をすべきかを見極める」ことが目標。扱うのは文法の空所補充と長文問題(第6問)がほぼ全て。冬は「今の実力のままで得点を底上げすること」が目標。扱うのは夏にやらなかったすべてのタイプの問題、です。この例でもわかるように、私はやる時期によってターゲットを完全に変えて授業を進めます。それは「読解」「文法」「東大英語」でも同じ。もちろんどれもハイレベルですから、単に大学合格だけではなく、将来も役に立つ形での「英語」の基礎を盤石にしてもらうことを絶えず考えていますが、夏は「問を解く」ということの意味をその根源から見直すことで問題がこれまでと全く違ったものに見えるようにすることが目標。冬はこれまで培った眼力を一層高めることに加え、同じ実力でより多くの点を取るために何を見極めるべきかを伝えます。

これだけ説明すればもういいでしょう。前にも言いましたが、こういう話のために授業時間を1秒たりとも削ることはできません。時間はいくらあっても足りないからです。だからこういう情報が欲しい人は、時々ツイッターを眺めてみてください。まあ、大概はバカ話なんですけどね。

 

この話は以上です。