予備校で授業をしていると、参考書に関する質問をよく受ける。だが、場当たり的な説明では中途半端になるので、あまりこれまでは積極的に触れずに来た。でも、最近は学生の情報収集能力が落ちているらしいこともあり、まあ著者自ら参考書について語ることが、いくらかなりともガイドになれば、と思って筆を執った次第。なお、現在でも新刊で手に入る本はリンクを明示してある。
私の参考書で、いろいろな意味で重要度の最も高いものは、英文読解百の原則(大和書房)だろう。これは、使うなら一学期に使うべき本である。この本の主たる目的は、自力で英語を読むのに必要な原則をインストールしてもらうこと、さらにその原則を使ってよりよく英語と向き合うことのできる観察力と思考力を養ってもらうことにある。大学受験という目標は見据えているが、単に点を取るための技術を語った本ではない。もちろんそれなりに考える意欲を要求する(考える力は、読み進めることによって培うので、初めの段階ではあまり求めていない。下巻の後半ではかなり必要になるが)が、私自身これまでの全ての著作の中でも自信作の一つであるから、意欲のある諸君にはぜひ読破し、研究することを勧めたい。
百の原則の内容を、より初学者にもとっつきやすいものにしたのが、「ビジュアル英文読解基本ルール編」(代々木ライブラリー)である。英語が苦手な向きや、あまり長い話に付き合うのはしんどいという人は、こちらの方がとっつきやすいかもしれない。単元別に英語を読むのに必要な必要最低限のルールを説明し、後半でその活用を実践して見せている。分量的にもさほど多くはないので、基礎事項を整理するためだけなら、これでもよいと思う。
百の原則にしろ、基本ルール編にしろ、読破してルールを理解した人には、「ビジュアル英文読解構文把握編」(代々木ライブラリー)をお勧めしたい。これは、予備校の構文読解の授業のように、数多くの、比較的短い文章を丹念に読み解いていく演習の本である。解説は最小限だが、既習事項がちゃんと見についているかどうかを確かめるには格好の素材だ。そしてこのあたりまでは、こなすならなるべく夏休みまで、それもできれば前半までに仕上げておいてほしいものだ。
読解力にめどがついたら、今度は問題の解法に集中しよう。そういう、夏後半から二学期にかけてやるといい本は二種類。一つは「英文読解 論理と解法」(代々木ライブラリー)。いかに読解問題を迷わずに解くか、その一点に絞って解説した本である。
さらに「英語長文問題解法のルール144」(大和書房)。正直、こちらの方が説明に割いているスペースが多い分、読んでいて刺激を受けることは多いと思う。本格的に赤本を始める前に、ぜひ144はやっておいてほしい本だ。
※この本は2020年10月24日に上下巻とも新装版が発行された。
文法だが、まず「入試英文法Ver.1 解法の基礎」(代々木ライブラリー)。これは、英文法の核心部分を明快に切り出して説明した本である。細かい語法は扱っていないが、英文法の全体像を過不足なく理解するにはよいと思う。あまり英語が得意でない、という人でもそれほど抵抗なく読めると思う。ただ、旧来の不効率なやり方に慣れすぎた人には、その斬新さについていけないところがあるかもしれない。
次に「入試英文法Ver.2 整序問題」(代々木ライブラリー)。これは英作文の基礎ともなる整序問題に焦点を当て、その解き方を語った本である。何でも「熟語」「決まった表現」でかたずける安易な参考書とは一線を画して、基本的な認識があれば特別な熟語や表現を知らなくても解ける、ということを示した本だ。
次は「入試英文法解放研究 口語問題の攻略」。学生諸君のほとんどがまったく知らないままになっている「口語問題」の解き方について、明快な指針を示し、これまた特別な表現を知らなくても、通常の英語力だけで対応できることを示した本である。
※この書籍も電子書籍化されているが、現在はリンク切れしている。原因調査中(2019年3月現在)
もう一つ「英語正誤問題の攻略」(代々木ライブラリー)。この本は、時期を選んでやるべきだ。最も推奨する時期は、夏休み。正誤問題は、まだ基礎事項があやふやな段階でやっても全く太刀打ちできず、意味がない。かといって、試験直前にやって、万が一出来が悪いと色々な意味で立ち直れない。だから夏休みなのだ。この時期なら、一通りの文法事項は既習なので、全く手も足も出ない、ということは少ないし、また間違えた単元はそこを再度勉強することによって試験までには強化できる時間の余裕があるからである。
※この書籍は現在中古でしか手に入らないようなので、電子書籍化を検討中。お急ぎの向きは古本屋で探してください。
最後に単語の本。これには二種類ある。一つは「The Word Book とみ単」(大和書房)。とみ単は、一学期は単語の特徴を使って意味を類推する方法を読んだり、見出し語の説明を読んで頭の中に論理性のある語彙のマップを作るのが目的。夏以降はコラムなどでリストを覚えていく。
VERBSは動詞、それも取りうる文型を反復によって頭に焼きつける道具。「とみ単」とは使い道が異なる。これは一般には販売していないので、購入希望者は以下のURLの情報に従うように。
最後に、受験勉強の初期段階で読んでおいてほしい本を紹介する。「試験勉強という名の知的冒険」(大和書房)。これは英語の本ではない。だが、「試験問題」の構造とからくりがわかるように書いてある本である。そして、受験勉強を、限られた期間でどうやれば効率よく勉強できるかを語った本である。諸君の勉強のヒントになる内容が満載なので、参考書ではないが、是非一読してほしい。また、続編の「キミはなんのために勉強するのか」も是非読んでもらえると刺激になること間違いなしである。
※この二冊は通常の本以外に電子書籍も用意されている。
以上、本の紹介をした。もちろん自分の書物であるから、当然その内容には責任と自信がある。ただ、もちろん選ぶのは読者であるあなたである。私は押し売りをするのは好まない。だからこの紹介をなるべく客観的に受け止めて、自分の勉強に活用できるものをうまく利用してもらうとよいと思う。
[文責 富田一彦]
